T級トラフィックを防御できる高防御CDNの選び方:ベテランエンジニアの5ステップ選定法(T級攻防実践事例付き)
分散スクラビングクラスタ、AI駆動検知、弾力的スケーリングでT級DDoS防御を極める。ゲーム&金融業界の実践事例と5ステップガイドで6つの落とし穴(帯域幅水増し、プロトコル未対応など)を回避し、理想の高防御CDNを選択。

T レベル流量攻撃の本質:防御のしきい値を再定義する
Cloudflare の四半期報告によると、2024 年の DDoS 攻撃のピーク流量は 5Tbps を超えた。こうした攻撃は、Mirai バリアントなどの分散型ボットネット(20 万台を超える IoT 機器を制御)や、NTP/SNMP プロトコルを利用した反射拡大攻撃(流量を 50 倍に拡大)により、CDN の防御システムに 3 つの課題をもたらす:
- 瞬時の帯域過負荷:単一ノードの帯域不足によりクリーニングが失敗。例えば、1Tbps の攻撃流量がノードの 200Gbps 処理能力を超えると、防御を直接突破する。
- プロトコルレベルの詐欺:SYN Flood + HTTP POST Flood などの混合攻撃が正常な流量に見せかけ、従来のルールエンジンでは識別が難しい。
- 持続的な消耗戦:攻撃継続時間が 4 時間を超えるケースが 38% を占め、防御システムの長期的な安定性を試す。
核心的な要件:T レベル流量を受け止める CDN は、単なる帯域積み上げではなく、「ハードウェア加速+スマートスケジューリング+弾性拡張」の有機的な統合システムでなければならない。
T レベル防御の 5 大核心技術指標(マーケティング表現を排除した純技術解析)
1. 分散型クリーニングクラスターの規模(核心的なハード指標)
- 合計クリーニング帯域:10Tbps 超の分散処理能力を備え、単一ノードの処理能力は 1.5Tbps 以上(実測で某ベンダーの香港ノードは 1.8Tbps の UDP 反射攻撃に対抗可能)。「ピーク帯域」と「持続的なクリーニング帯域」を区別すること。一部のベンダーは 5T の防御能力を謳っているが、実は 5 分間しか維持できないケースもある。
- ノード密度と分布:目標地域で各大陸当たり 20 ノード超(例:アジア太平洋地域で香港、シンガポール、東京など 15 ノードをカバー)。攻撃流量をローカルでクリーニングし、大陸間のスケジューリングによる遅延を防ぐ(理想的なリターン遅延は 50ms 未満)。
2. スマートスケジューリングシステムアーキテクチャ
- アニキャスト技術:BGP アニキャストによりオリジン IP をグローバルノードにマッピングし、攻撃者は最も近いノードのみを検出できる(例:北京のユーザーは天津ノードに解決)。実測で攻撃流量を 30 ノード以上に分散し、単一ノードの負荷を 70% 削減。
- 動的ルーティングアルゴリズム:リンク品質をリアルタイム監測(パケットロス 5% 超え時自動ルート切り替え)。典型例:あるライブ配信プラットフォームは BGP 動的ルーティング対応 CDN を使用し、2.3Tbps の攻撃時にノード切り替え遅延を 80ms 未満に抑え、ユーザーに感知されなかった。
3. AI 駆動型検出能力(アプリケーション層保護の核心)
- 行動ベースラインモデリング:7 日以上の正常流量データを収集し、地域分布、リクエスト間隔、デバイスフィンガープリントなど 18 の次元で動的モデルを訓練。ベースラインから 30% 以上外れた流量に対して二段階検出をトリガー(誤検知率 0.01% 未満)。
- プロトコル深層解析:HTTP/3、QUIC などの新規プロトコルの攻撃検出をサポート。例えば、QUIC プロトコル内の偽装源 IP を含む反射攻撃を識別することで、従来のレイヤ 4 防御では不可能だった課題を解決。
4. 弾性拡張メカニズム(突発的なピーク対策)
- スタンバイクラスターの熱ロード:30% の冗長帯域を事前割り当て(例:通常防御 5T、スタンバイクラスター 3T)、ハードウェア加速チップにより分単位の拡張を実現(某金融顧客の実戦で、12 分で防御ピークを 8T から 15T へ引き上げ)。
- 流量フュージブル戦略:単一ノードの負荷が 80% を超えた際、自動的に隣接ノードへ流量をスケジューリング。同時にオリジンサーバに 101 Switching Protocols を返し、ユーザーをスタンバイノードへ誘導。
5. ハードウェア加速とプロトコル最適化
- NPU チップ搭載:エッジノードに専用ネットワーク処理ユニット(例:華為 Atlas500)を配備し、100Gbps の流量をラインスピードで処理。ハードウェアレベルの ACL ルールマッチング遅延は 500μs 未満で、純ソフトウェア方式の 3 倍の速度。
- TCP/IP スタック最適化:RFC3326 のソースポートフィルタリング、RFC2827 のインバウンドフィルタリングをサポートし、プロトコル層から IP 偽装攻撃をブロック。これは反射型攻撃防御の鍵となる措置。
5 段階選定法:要件分析から実証テストまで
Step1:業務の防御要件を定量化(防御過剰・不足を回避)
- 過去の流量分析:Wireshark で過去 3 ヶ月間の流量ピークを統計(95 パーセンタイル値を推奨)。例えば、電商の大型キャンペーン時に 800Gbps のピークが出た場合、防御ピークには 1.5 倍の余裕(1.2Tbps)を見込む。
- 攻撃シナリオシミュレーション:LOIC、HULK などのツールで 1Tbps の UDP フラッド攻撃を模擬し、現有のアーキテクチャのボトルネックを検証(サーバー接続数枯渇、CDN ノードのパケットロス 20% 超など)。
Step2:クリーニング能力の実地検証(理論値は信用せず、実測データのみ)
- ノードクリーニング効率テスト:ベンダーから実際の攻撃ログ(タイムスタンプ、流量曲線、遮断率を含む)を請求。重点的に確認するポイント:
- 1Tbps 超の攻撃時の遮断率が 99.5% 超であるか;
- クリーニング後のリターン流量の異常パケット比率が 0.1% 未満であるか(tcpdump によるパケットキャプチャで確認)。
- 多ノード負荷分散テスト:MTR ツールで攻撃時のノードスケジューリングを監測。理想的な状態は、単一ノードの負荷がピークの 70% 以下(例:2T ノードで 1.4T 以下の流量を処理)
Step3:アプリケーション層保護の深度評価(T レベル攻撃の「柔らかい妨害」)
- CC 攻撃遮断テスト:JMeter で 50 万 QPS の HTTP GET フラッド攻撃を模擬し、CDN が悪意の IP を正確に識別できるか確認(例:単一 IP のリクエストが 200 回 / 分を超えた際に CAPTCHA をトリガー)。同時に正常ユーザーの通過率が 98% 超であることを確保。
- プロトコル互換性テスト:中国独自の暗号アルゴリズム(SM2/SM3/SM4)や TLS 1.3 をサポートしているか検証。金融・行政などのコンプライアンス要件の高いシーンで不可欠。実測で某ベンダーが SM4 非対応のため医療顧客のコンプライアンスに失敗したケースがある。
Step4:弾性拡張と緊急対応(生死を分ける最後の防線)
- スタンバイクラスター切り替えテスト:手動で過負荷条件を作成(例:単一ノードに 1.5T の流量を模擬攻撃)、スタンバイクラスターの活性化時間(理想的に 2 分未満)と切り替え中のユーザーアクセスの中断の有無を確認(Selenium 自動スクリプトでページロードを監測)。
- 技術サポートの応答速度:深夜 2 時に攻撃対策の緊急問い合わせを行い、ベンダーが 15 分以内にカスタム策(例:特定 URI の速度制限ルール)を提供できるかテスト。APT 攻撃対策の鍵となる能力である。
Step5:長期安定性とコスト計測(導入はできても運用が負担にならないように)
- 課金モデル分析:「95 パーセンタイル課金+流量パック」の混合モデルを優先。例:ある企業の通常流量が 500Gbps で、突発的な攻撃時に 95 ピーク(1.2T)で課金すると、固定帯域モデル比べ 37% のコスト削減が見込める。
- ノード健全性監視:ベンダーにノードの SLA(可用性 99.99% 超)を要求し、リアルタイム監視 API(例:Prometheus でノード負荷・パケットロスデータを取得)を公開することを義務付ける。

実戦ケース:某ゲーム企業の T レベル防御システム構築実録
2024 年 Q3、ある MMORPG ゲームは過去最大規模の 3.2Tbps の攻撃(主に SYN Flood + DNS 反射混合攻撃)に遭った。選定と導入過程は以下の通り:
- 課題診断:
- 旧 CDN は 1.5T の負荷時にノード過負荷が発生し、プレイヤーのログイン遅延が 5 秒超、切断率 40%;
- 攻撃者がゲーム API のオープンインターフェイスを利用した CC 攻撃でデータベース接続数が枯渇。
- 解決策:
- ハードウェア層:NPU チップ搭載の CDN07 ノードを採用(単一ノード 1.8Tbps 対抗能力)、全球 32 ノードからなる分散型クリーニングネットワーク;
- 戦略層:AI 駆動のセッションフィンガープリント技術を導入し、各プレイヤーにユニークなアクセストークンを生成し、単一 IP の並列接続を 100 回 / 秒に制限;
- 緊急層:3T の予備帯域を事前確保し、攻撃時に自動的にアニキャストルートを調整し、1 分以内に流量を 12 ノードに分散。
- 防御効果:
- 攻撃中のログイン遅延を 200ms 以内に維持、切断率 5% 未満;
- クリーニング後のリターン流量の悪意のパケット比率が 35% から 0.08% へ低下、データベース負荷 65% 削減
T レベル CDN 選定の 6 つの落とし穴(回避方法付き)
落とし穴の種類 | 典型的な表れ | 回避方法 |
---|---|---|
帯域の水増し | 10T 防御を謳っているが、単一ノードのピークのみで、分散協調機能なし | 跨ノード負荷分散の実測動画を提供するか、M-Lab などの第三方プラットフォームでノード帯域を確認 |
プロトコルサポート不足 | HTTP/3 非対応でモバイルユーザーのアクセスが遅く、または QUIC 非対応で暗号化流量のクリーニングが失敗 | curl -I --http3 コマンドで CDN の新規プロトコルサポートをテストし、レスポンスヘッダーに alt-svc: h3-29 が含まれているか確認 |
ログ不透明 | 攻撃 IP の帰属や ASN 番号などの詳細がエクスポートできず、トレースアンドリタリエーションが困難 | src_ip、dst_port、attack_type フィールドを少なくとも含む完全なログを API で取得できるよう要求 |
弾性拡張費用 | 予備帯域を使用する際に高額な「活性化費」がかかり、コストが急騰 | 拡張が必要に応じて課金されるか、最低消費額の有無を事前確認。「冗長帯域事前割当+段階的ディスカウント」方案を選択することを推奨 |
地域カバーの空白 | 全球ノードを謳っているが、実際に東南アジアに 1 ノードしかなく、現地ユーザーへの攻撃が突破 | NodePing で各地域のノード応答時間を監測し、目標市場のノード密度を 5 ノード / 国超に要求 |
誤検知率失控 | 防御策が一括適用され、正常ユーザーがブロックされる(例:CDN クローラー IP の誤検知) | 誤検知率 0.01% 未満の約束を要求し、テスト期間中に 5% の正常流量を注入して遮断状況を観察 |
まとめ:T レベル防御は「技術+経験」の複合体
T レベル流量を受け止める高防 CDN を選択することは、本質的に「分散型クリーニングネットワーク+スマート決定システム+弾性インフラ」の防御エコシステムを構築することである。エンジニアとして心に刻むべきこと:
- データ優先:マーケティング表現を信用せず、実測ログやストレステストデータで判断;
- シナリオ適合:ゲーム業界は TCP 接続保護を重点的に、金融業界は中国独自暗号化が必須。「ワンサイズフィットすべて」は禁物;
- 攻防演習:四半期ごとに T レベル攻撃を模擬し、ノード切り替えや策調整の実効性を確認し、紙上談兵を避ける。
行動建議:直ちに CDN 防御能力自己診断ツールを使用し、業務流量モデルを入力すると自動的に選定スコアレポートが生成される。本当に T レベル流量を受け止められる CDN は、最も高価なものではなく、「防御能力がニーズをちょうどカバーし、応答速度が攻撃速度を上回る」ものである。
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